安倍
こんなこと考えられません。
門脇
うーん。
安倍
職人だったら、こんなこと考えないと思いますよ。
門脇
ふん。
安倍
職人はここまで求めていないから。
門脇
はいはい。
安倍
私の識る限りの名品の焼成は、水指、鉢、花入は、焼成の初期は器物の上下を反対に尻から焼き始め、尻が完全に焼けるまでは前後も反対にしてあるんです。最後に起こして正面の焼きを作り上げるんです。鉢などはボタモチをおいてゴマ掛けを1度あるいは何度かゴマ掛けしてあるんです。口縁についた目跡は最後のゴマで隠れて判らなくなるんです。
門脇
ふーん。