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門脇 |
今後のことですけど、向こうで、向こうにある資料だけで、その、今の作品をですよ、どうとかこうとか言いながら研究するといっても手がつかない。なかなか資料がなくて、先生のところへもいろいろ照会が来るとか? |
安倍 |
どの辺まで、どういうふうにするんか、ぼくらもわかりませんけど。ぼくもこの間Sさんがあの時話をして、ぼくも初めて聞いた話でね。わたし自体が今までそういう話を聞いたことがないんです。 |
門脇 |
はい。 |
安倍 |
まぁ、こういうふうな仕事ですと、そりゃ、セザンヌやゴッホと違いますからね、もう。せいぜい、ぼくの資料を資料としてあるだけ集めて、それで終わりじゃないですか。そんなもんだと思いますよ。 |
門脇 |
研究のしようがない。 |
安倍 |
しようがない。 |
門脇 |
例えば、数度焼きというのが資料として出て来たから、やっているだろう、というくらいで。 |
安倍 |
いや、もう、そこまでしないと思いますよ。例えば、ぼくの経歴書の略歴をつけたら終わりじゃないですか。 |
門脇 |
あぁ、そんなもんですかね。 |
安倍 |
そんなもんだと思いますよ。(笑)それこそ、何年に生まれて、何年に死んだとか。 |
門脇 |
まだ殺しちゃいけません。 |
一同 |
(大笑い) |
安倍 |
そんなもんですよ。 |
門脇 |
選ぶについて、ジャンルでわけているとか? |
安倍 |
あのね、こういうことでしたよ。その日本は伝統と創作の二つに分けてね、いわゆる前衛的なもの現代アートなものと、二つに別けてるんだけど、向こうはね全部一つなんですね。要は、現代の日本の陶芸だと。 |
門脇 |
はい。 |
安倍 |
一緒くたなんです。だから、使えるとか使えないとか、オブジェだとか器だとか、そういう……。 |
門脇 |
区別はない。要は、焼き物だと。 |
安倍 |
そう、焼き物だと。 |
門脇 |
これは、どうなんですか。向こうが候補者を決めて? あるいはだれか推薦者がいたとか。 |
安倍 |
イャー、どうなんですかね。ぼくもそこらまで尋ねていませんけど、こちらもそこまで聞くだけのあれもないんで。 |
門脇 |
まあ、当事者とすれば、それもそうですね。 |
安倍 |
とにかく頭を下げて、晩飯をごちそうになって、頭下げっぱなしですからね。 |
一同 |
(大笑い) |
安倍 |
そんなとこまで聞けんかったですね。
ただもう、ぼくが聞けたのは、ひと言だけね。ぼくは無冠ですから、まったくの無冠ですから、なんでぼくを選んでもらったか、と聞いてみたんですよ。
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