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No.435 | マスター | 2005-06-24 12:06:01.449738+09 |
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かわにしさんからです。 ご無沙汰しています。22日(水)、名古屋展出品の預かり作品(所蔵家よりの)や関係パネルなどをお届に安倍先生の処へ行ってきました。 見せていただいたI氏所蔵の伊部酒器はとんでもない名品でした。先生の作品レベルは他の作家に比べれば平均的に異常に高いのですが、その中で稀にとんでもない名品中の名品があるのですね。ビックリしました。 No74の備前鉢の話題になったのですが、最初に手元を離れた事情(時期、業者、場所)は定かではありませんでした。 ただ、流転を重ねた名品中の名品に間違いはないようです。東予時代のもので、写真ではわかりませんが、小さい足付です。 銅器のような伊部あがりで、口縁のうねるような造形が見込の線刻と完全にマッチされ、奥行きの深い独特の迫力と品格を備えています。 桃山の古備前を追求する中で、造形的にも現在の安倍備前を彷彿させる作品が既にあの時代に出来ていたとは、いまさらながら感銘します。 あらゆる角度から検証しても、とんでもない名品中の名品のように思われてしかたがありません。 現物をぜひ見ていただきたいものです。 ギャラリーかわにし 塩出 |
No.436 | マスター | 2005-06-24 17:11:40.690523+09 |
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かわにしさんからの追加投稿です。 ついでながら、No73の備前大皿にふれておきます。 先生のお話ですと作品として市場に出ているのは、7〜8点くらいでその中でもトップクラスとか。 成形、乾燥、焼きの一連の工程を通して、生き残る作品は稀だそうです。したりおさんのご説明通りです。 6〜7年前、コレクターにお世話したものです。 「売っても良い。また焼くから」のお言葉は頂いたのですが、その後は乾燥中に割れかけた姿を見ただけです。 ギャラリーかわにし 塩出 |
No.437 | あしろ木 | 2005-06-25 22:43:37.484651+09 |
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アート そうなのです。 メトロポリタン美術館へ収蔵された火襷水指は、私の中では まさに マリリンモンローでした。(あおい) |
No.438 | さむしろ | 2005-06-26 18:57:28.737101+09 |
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ほうほう。 ということで、いまあらためてメトロポリタン収蔵の三作品の写真を見直してみました。そうするとあおいさんの言われることが理解できたし、もう一歩進んで三作品とも力強さをこえた妖艶さを感じました。 |
No.439 | あしろ木 | 2005-06-26 20:16:20.813435+09 |
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あの三作品は すばらしかったですね。 はじめ「メトロポリタン美術館へ収蔵されました」と聞いた時は、例の伊部桶水指一点だけかと思っておりましたが 一度に三点という快挙に 驚きました。と同時に とても嬉しかったです。 後日 ニューヨークでの写真を見た時に 実感となって こみあげてくるものがありました。(あおい) |
No.440 | マスター | 2005-06-26 20:35:14.576501+09 |
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幸いに桶水指は手にとってみました。しかし残念ながら緋襷水指、備前寸胴水指は手にとってみる機会はありませんでした。メトロポリタン収蔵については、アトリエ訪問にも書かれていますが大変なドラマがあったんですね。 |
No.441 | あしろ木 | 2005-06-27 11:13:42.318551+09 |
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と言うわけで、「アトリエ訪問」を読み返しました。 とにかく、あの三作品は アールヌーボーのガラス作家「ガレ」の花器を彷彿とさせるものがありました。 あの妖しいまでの妖艶さを 今までの現代の備前焼で 感じたことは 皆無です。(あおい) |
No.442 | したり尾 | 2005-06-27 17:16:05.795618+09 |
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皆さん、夢中になってお話しになっているもので、またまた傍でしばらく聞かせていただきました。 ところで、安倍安人の箆遣いと轆轤目など前から気になっています。造形上、大変重要なことだと思うのですが、あまり世間では触れていないように感じます。 話の腰を折るようで申し訳ありませんが、皆さんはどのように思われますか。 |
No.443 | さむしろ | 2005-06-27 20:31:53.973775+09 |
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安倍さんの「箆」が理解できたら安倍備前への理解が一ランクも二ランクも上がるでしょう。 |
No.444 | あしろ木 | 2005-06-28 00:28:44.411482+09 |
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安倍さんのように 迷いのない 力強い箆使いを見たことがありませんでした。 あるべきところに入っているんですね。計算されつくして。(あおい) |
No.445 | したり尾 | 2005-06-28 18:47:04.021298+09 |
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あおいさんの言われるとおりです。 来週の名古屋三越の二人展の図録でみれば、私は次のように思います。 35の備前茶碗は比較的、轆轤目の強い作品です。全体が左から右に傾き動いています。それを右の胴の下に箆を入れることによって、傾きを支えています。また、正面の二本の箆目によって、轆轤目を断ち切り、全体を引き締めると同時に、轆轤目を強調しています。さらにその二本の箆目の上に刀傷のような斜めの鋭い箆目を重ねています。この箆目によって作品に影を作る。これで仕上げです。 43の備前耳付花入は徹底的に箆を入れて箆で動きを強調して面白い。 語ればきりがないのですが、このような箆の入れ方は志野の「羽衣」「峯紅葉」織部の「冬枯」などといい勝負ではないかと思っています。 |
No.446 | あしろ木 | 2005-06-29 09:51:47.481907+09 |
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したり尾さんの解説にそって35・43の作品を見てみました。 35の茶碗はわかりやすい解説で、作家の意図した箆目などがもたらす効果がよくわかりました。 43の花いれを見直してみると、口作りがとても力強く大胆に箆で仕上げられているのに対して、胴のほうは全体にななめの箆目を効かせて 口と胴のバランスが絶妙にとれているようです。 作家が意図的にした事さえも見る側にはそれを感じさせず、むしろ心地よく感じられていつまでも嫌になりません。 それは思いつきでしたことではなく、あくまでも計算しつくしているからだと思います。(あおい) |
No.447 | したり尾 | 2005-06-29 10:15:54.281462+09 |
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あおいさんの言われるとおり、力の配分を計算しての箆目です。 また轆轤目も、なぜ残したのか、なぜ消したのか全体の形を見ながら推測してみれば、理解できるはずです。 桃山の志野や織部のいくつかの作品にも同様のことが言えます。謎とされている織部の文様も、そこにそのような形で描かれなければならなかった必然性があると、私は感じています。 出川さんが安倍備前は桃山の形を写したのではなく、桃山の精神を受け継いだとお書きになっている意味の一つは、こういうことだろうと思っています。 |
No.448 | あしろ木 | 2005-06-29 22:26:51.870427+09 |
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それにしても43の花入れは、安倍安人のコンテンポラリーアートの作品を連想してしまいます。 やはり、陶芸家ではなく アーティストの作品です。(あおい) |
No.449 | したり尾 | 2005-06-30 08:55:42.961944+09 |
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おそらく43の花入にかぎらず、実際に見てみれば茶入にも水指にも同じような感想をお持ちになるのではないでしょうか。 そもそも茶道具は、その時代のアートの頂点に立つものでなければならないと思います。少なくとも桃山から江戸初期の優れた茶道具はそうでした。長次郎も志野も織部も今もなお、驚くほど斬新で美しい。日本の美術の頂点のひとつです。 安倍安人が異端の作家なのではなく、彼こそが正しく茶道具の心を体現している作家であると考えます。 |
No.450 | あしろ木 | 2005-06-30 19:31:43.865179+09 |
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話は45の算木花入れに移りますが、算木の形は銅器写しとの事。小さな高台に直立した胴体。1350度の中を幾度もくぐりぬけ、その温度に耐え抜いて直立する様は、気高く崇高な美しさを備えています。(あおい) |
No.451 | さむしろ | 2005-06-30 23:53:45.101742+09 |
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算木花入はたまらなくいい。算木花入が仕上がるのには1年あるいは2年という時がかかるということで、その間幾度も火をくぐるということですね。しかし、そういう話を聞くまでは、作品を見ただけではとてもそんなことは考えられなかった。 茶碗に限っても遠州以前の和物、唐物、朝鮮物でそれなりの評価を受けている茶碗は数千点あるいは数万点になるかもしれない。 その中でしたり尾さんが449で言われる日本美術の頂点ともいえる織部様式茶碗は、安倍さんに言わせると数十点に満たない数しかないという。 でありながら現在では織部様式茶碗は圧倒的な存在感を有している。ところが「たまたま出来がよい」といった評価しかされずにいることは実に残念だ。安倍備前の認知も織部様式茶陶が真に理解されないと本物にならない。 |
No.452 | したり尾 | 2005-07-01 08:49:48.042816+09 |
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さむしろさんのご意見に全面的に賛成です。まったくそのとおり! 頭の固い焼き物好きではなく、別のジャンルの美術界の人々に安倍安人の作品をみてほしい。そうしないと、いつまでも安倍安人も織部も真の価値が評価されない。 そんな人が、誰かぶらりと来週の展覧会を見てくれないかな・・・。 |
No.453 | あしろ木 | 2005-07-01 21:35:07.509589+09 |
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そうですよね。私もそうなる事を願っています。 安倍さんの作品が仕上がるのには1年以上もかかっているのですか! 「たまらなくいい」と思える作品に出会えることの幸運を、感謝しなければいけませんね。 一期一会ですから。(あおい) |
No.454 | さむしろ | 2005-07-03 00:57:31.55556+09 |
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そういうことですね。一点一点に長い時間がかかるので今後そう多くの作品は出来ないということを知らなければいけないでしょう。 いち陶芸ファンに安倍備前を十分に理解しろというのは酷なことかもしれない。しかし、評論家、学者、学芸員などのプロについては、安倍安人と同時代に生きていながら「理解できなかった」プロとして後世の批評を受けることになるかもしれないということを覚悟すべきだ。 |
No.455 | あしろ木 | 2005-07-03 21:49:15.723424+09 |
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出川直樹さんがおっしゃるように 「いまだ無冠に近い一作家安倍安人の作品が厳しい審査を経てメトロポリタン美術館に二人目の日本人の陶芸家として収蔵されたことは、作品の実力を見通す現代の目が健在している。」ことを美術関係者に期待したい。(あおい) |
No.456 | さむしろ | 2005-07-03 22:00:28.409247+09 |
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いろいろな繋がりや利害関係があって、安倍さんが生存中は発言しないということもあるかもしれない。 そういう意味でも外国人の目にその健在を期待したほうが確かで早いかもしれない。 そういえば友人のK氏は、直接的には利害関係はないが、安人があまりに騒がれているので無視していた、と言っていた。しかしある時、ある作家の作品を見るためにお店に寄ったとき安倍備前に出会い、その何点かを買ってしまったと言って見せてくれた。 |
No.457 | あしろ木 | 2005-07-03 22:35:27.932535+09 |
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肩書きや名前の先入観なしに 作品を素直に見ていただきたい。(あおい) |
No.458 | さむしろ | 2005-07-05 00:09:52.437896+09 |
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でも考えてみると安倍備前を直接見ることが出来る機会はそう多くはない。 今年で岐阜、名古屋、岡山、伊予西条、東京で各1回と大阪での2回だけですから。それも期間1週間程度づつ。 やはり広い範囲でゆっくり見ることができる機会は必要ですね。 見ればK氏のように感じることができる。どうもK氏は相当なドカンショックがあったみたいです。 |
No.459 | マスター | 2005-07-05 09:46:55.17591+09 |
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Kさんがいらっしゃいました。 素晴らしい見識をお持ちの皆さんのところに、私ごときが入り込んでいいのか迷いましたが新参者の“bS56のK”です。 意を決して入室。 その前に、「マスター! お茶をお願いします」 私は安倍先生の作品を多く拝見しているわけではありませんが、第一印象は「こんな焼物があったのか」、今までの焼物のイメージからすると別世界、ドカンショックであったことも事実です。それが理論的な評価としてお伝えできない程度の知識で申し訳ありません。 又、私の場合は安倍備前の素晴らしさと同様に青磁もいいし、信楽も志野も・・・・。 言うなれば、根っからの浮気性。 さて、バブルがはじけてずいぶん経ちますが、骨董を含めた焼物は安くなったのでしょうか。 先日、萩の窯元にお邪魔をして、「お茶碗の値段がバブル前に比べてあまり安くなってませんね」と言ったところ「皆 我慢をしてるんですよ」とのことでした。 安倍先生の作品でも言えることですが、購入する時は安いにこしたことはありませんが 手放すかどうかは別にして資産的な価値を考えれば値が上がったほうがいいに決まっています。 「ものはら」では安倍先生の作品についての評価はずいぶん議論されていますが、その評価と市場での評価には若干の温度差があるように思います。芸術論に水を指すようで申し訳ありませんが、この点についての皆様方のお考えを価格の面も含めてお聞きできればと思っています。 |
No.460 | さむしろ | 2005-07-05 12:41:04.875459+09 |
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Kさん、やっと出てきましたね。待っていましたよ。 評価のことですが、市場評価のほうがまだまだ低いと思いますよ。コレクターとして収集の立場にたてば安いほうがいいので、今現在は文句はありません。しかしKさんのように「こんな焼物があったのか」という人が増えれば作品数に限界があるので、その価格は自然とおさまるところにおさまると思います。 そのために今のうちにあと何点かほしいと呪文をとなえています。 これまでに、この作品なら倍でも3倍でも出してでもほしいと思ったことが何度もあります。 |
No.461 | マスター | 2005-07-05 13:47:40.820493+09 |
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Kさん暑い中をようこそおいでくださいました。 二人展の図録37の茶碗に冷水でたてた抹茶です。 まずは一服どうぞお召し上がりください。 |
No.462 | さむしろ | 2005-07-05 20:04:08.264773+09 |
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安倍備前と出会う機会が極めて少ないということが、多くの人が安倍安人を知らないことの大きな原因の一つでしょう。 また知っている人達にも、安倍備前を評価する人達としない人達がいる。 2ちゃんねるをのぞいてみると、安倍安人の名がでると狂ったように攻撃してくる人達がいる。 安倍備前をけなしている人達が、安倍備前が嫌いなのか、安倍備前が評価されるのが嫌いなのかよくわからない。 また、安倍備前は限られた業者しか扱っていないが、扱えないライバル業者が安倍備前をほめることはしないと思う。 |
No.463 | マスター | 2005-07-06 09:45:21.641821+09 |
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Kさんからです。 さむしろさん、ありがとうございます。 安倍備前を数多く見る努力をしていきたいと思っています。 さらに、気に入った作品を手に入れたいと考えていますがサラリーマンの私にとってはなかなかに・・・・・。 図録を拝見しながら悶々とした毎日です。 マスター、おいしいお茶をご馳走様でした。 次は図録bS0のお茶碗でお願いします。 |
No.464 | あしろ木 | 2005-07-06 09:56:25.744363+09 |
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今まで自分が手に入れてきたもの(新旧種類を問わず)を今誰かに「これを買ってください」と言われ時に、今だったら「いくら出せるか」を冷静に考えてみて下さい。 作家とのやりとりの思い出や業者の売り口上 名前 肩書き等の先入観抜きにして、そのもの自体を自分とは違う角度で見る目が必要です。これはとても大切なことだと思っています。 とかく、自分の好きなものは「あばたもえくぼ」になるからです。(あおい) |
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