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安倍 |
だけど、それではあの桃山のああいう手のもの、その当時、とてつもなくもてはやされたかと言ったら、それほどではなかったように思いますね。桃山の好みは一般的というよりも個人的で、自分を大切にしたのでしょうね。 |
門脇 |
ただ、『伊賀花入生爪』がありますね。あれを織部が持っていて、上田宗箇が欲しいと言って。 |
安倍 |
生爪をはがされるようだ、と言って。 |
門脇 |
そうそう。あれ、ありましたね。ごく一部の世界では、そういうときが短期間あって、(織部が)亡くなってすぐに消えてしまって、それで、さっきおっしゃったように、戦後になって、結構いいじゃないか、と、もの自体は評価出来た。しかし、なんでいいのかは、わからないんですね。 |
安倍 |
だからね、結局、岡倉天心のころにね、そのころの名品というのは、アメリカへ持ち出されているんです、いっぱいね。 |
門脇 |
はい。 |
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